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ロクスケは、毎日、仕事場の割烹料理屋から、
自転車でやってきた。
昼どきと夜の客の合間、
15時〜16時ごろ。
自転車で校庭に乗り入れて、
でも、遠慮がちに、プールの横か、
門の手前あたりに、立っていた。
やがて、子供たちが集まってくる。
「ねえロクスケ、紙ちょうだい!」
ロクスケは、ポッケから、ちぎった紙片を取り出す。
不動産屋の黄色い広告のウラだったり、
スーパーのツルツルの紙の裏だったり。
その紙片には、
不思議な数字とマークがかかれていた。
その紙片を奪うように、子供たちがロクスケにむらがる。
紙がなくなっても、
こどもたちは「ちょうだい!ちょうだい!」
と言って、
ロクスケの服やズボンを引っ張った。
ロクスケは、困ったように、でもうれしそうに、笑う。
「ねえロクスケ、1たす1は?」
ロクスケは困ったように、うれしそうに、笑っている。
ロクスケの笑顔は、いつも困っているように、うれしそうに、見える。
そのうち、先生もやってくる。
先生も、ロクスケと笑い合っている。
夕日が沈むころ、下校時刻を知らせる「夕焼けこやけ」が流れると、
ロクスケは、自転車に乗って帰ってゆく。
よし、仕事だ。というように。
ロクスケ、
いまもロクスケらしく、自転車に乗っていますか?
学校には、入れないよね、きっと。
さびしい思いをしていませんか?
ごめんね。
あの頃ロクスケと遊んでいたこどもたちは、
パパやママになって、いま、いっぱいいっぱいなんだよ。
一部の、とんでもないヤツらのために。
だからロクスケ、もうちょっとだけ、待っててね。
ロクスケが、たくさんのこどもたちとともだちになれるように、
そんな日が来るように、わたしも、こどもたちも、がんばるから。
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